時代が求めた解かりやすいニュースのあり方。その原点は全てこの番組から始まった。

週刊こどもニュース

『週刊こどもニュース』とは

数字としては必ずしも満足いく結果は出ていないけれど、ねらいがピタリとはまった企画もあった。見ている人々は「子ども」。でも16年間同じ「子ども」が見ているわけではない。初期の「子ども」は大人になってNHKの試験を受けに来たりした。「子ども」は変わり続ける。ノウハウは永遠不変のノウハウではない。日々変わり続けるのである。


——2010年からリニューアルされました。この目的は?

先程も話題に出ましたが、今、わかりやすいニュース番組が増えています。他番組との差別化です。まずテレビの側からなるべく視聴者に語りかけること。いかに「わかりやすく」といっても、ただただ見てもらいっぱなしだと、チャンネルをかえられてしまいますので。「一緒に考えよ家族全員う」「こういうことをやってみよう」って、語りかける機会を多く持っていこうと。そのために、クイズ形式を番組の中に取り入れるようになりました。もうひとつ、こどもニュースでありながら、実際には大人のニュースに近づいてしまっている部分があるので、より「こども」に戻ること。何事も本音で言葉にしてくれる光浦靖子さんに“お母さん”になっていただいたり、親しみやすいハイキングウォーキングさんに“近所のおにいさん”として登場していただくようになったのは、そのためですね。 
 

——リニューアル以降、もっとも印象に残っている回は何ですか?

5月23日放送分の、「口蹄疫」を取り上げた回ですね。「馬とラクダとサイのうち、口蹄疫にかかる動物はどれでしょう?」っていうクイズからコーナーを展開しました。口蹄疫は、偶蹄類といってひづめが偶数の動物が感染するんです。ひづめの数なんて大した問題ではないかもしれません。でも子どもたちにはそこから知ってほしかった。大人のニュースだと、経済的・行政的な面からのアプローチが多いんですが、こどもニュースではそもそもどんな病気なのかっていうことを基礎の“基”からやっていきたかった。それがうまく伝わったと思うんです。 


——「ここまでは知っていて当たり前」というのではなく「そもそも」からきっちり伝えられたわけですね。


実は私たちもよくはわかっていなかったんですよ。打ち合わせをして「豚の方が広めやすい」「豚は牛の体内で1000倍ウィルスを増やす」「豚に感染したことがパンデミックの原因?」って、学んでいきました。それでここもクイズにして「どれがいちばん伝染しやすい動物ですか?」というところから入って、解説していきました。もちろん難しい事件や事故もいっぱいあるので、いつもクイズで紹介するわけにはいかないですが、なるべく視聴者のみなさんも考えてもらえるようにしたい。口蹄疫の解説は、リニューアル後の見せ方の典型だった気がしますね。 


——なるほど。口蹄疫なんて、見せ方のみならず「普通のニュースをきちんと伝える」という姿勢においても象徴的ですよね。そういうネタを選ぶ基準は何ですか?

世の中に一番影響があってみんな関心が高いニュース。小沢幹事長や普天間問題は取り上げるべきだと思っています。説明するのはものすごく大変ですけど(笑)。ただそのほかに、子どもたちに宇宙への関心をもってもらうきっかけになるような宇宙飛行士のニュースとか。大人のニュースでは扱いが薄くても、何らかの形で子どもたちに役立つ話題は入れていきたいですね。そこは大人のニュースとは違った視点での独自編集をしていると思います。
カメラ越し

——そのネタを取り上げるかどうか、っていう段階で子どもたちに聞いたりする機会はあるんですか?


特別には設けていませんけど、収録前日のリハーサルとか、収録の合間にチラチラと振っています。先々の特集でやろうと思ってるようなテーマを、果たして子どもはどのくらい理解してるんだろうかと。「ねえ××のこと知ってる?」「どう思う?」って。それで反応を見て、どこまで深く説明するのか、どういうところから語り始めるのが適当かを考えるんですね。 
   


——はじめに「ノウハウが蓄積されている」というお話がありましたけど、そういうことの積み重ねですか?


そうですね。ただ積み重なっている一方で日々更新されたりもするんです。 


——どういうことですか?


子どもって、パソコンとかについては予想以上にくわしいんです。昔は「ダウンロード」程度の言葉が通じなかったのが、いまの子どもには当たり前。時代によって理解の範囲が全然違うんですよ。だからあるところには時間を割かなければならないし、あるところには説明すら必要ない。「ダウンロード」はわかっても「9.11テロ」は、何のことだかわからない。事件当時、彼らは赤ちゃんでしたからね(笑)。わからないから興味ないのかと思えば、逆に食いついてくる。番組開始からもう16年で、「週刊こどもニュース」を見て育った子どもたちが、いまやNHKの採用試験を受けに来てるぐらいですから。そういう時代になってしまって(笑)。私たちが「この点はノウハウとして持ってる」と思っている部分でも、実はすでにリセットされていて、またイチからその時代の子どもたちに合った方法を見つけねばならないこともあるんです。思いこみは厳禁ですね。ホント教科書見てるだけでは、子どもたちについてはわかりませんね。普段から観察していないと 


——そういう意味では大人のニュースより手間は膨大にかかりますね。

私はもともと経済ニュースを担当していたことがあるんですけど、大人のニュースを作る方が楽です。こどもニュースってね、夢に出てきそうですよ。「これが、わからな~い」って言う子どもたちに対して、「う~ん、どうやって説明すればいいんだろう」って悩んでるような……。 


——曖昧に伝えて、間違った理解を植えつけてもいけないですしね。

そうなんです! たとえばテロリストの話をするときに「イスラム過激派」っていう言葉を使うと、「イスラム」という言葉に子どもがアレルギーを持つ可能性もあります。イスラム教ってそもそも平和を大事にする宗教ですから。中には「過激派」っていう一部の人がいる、ということをきちんと伝えていかないと、とてもゆがんだ理解になる。イスラム教徒って世界的にも大変多いですから、そういう認識になると困る。そういった点はものすごく気を配ってますね。 


——今後の課題はありますか?


最近は中学受験などでも時事問題について考えて、自分の意見を書くような問題が出る傾向にあるようです。つまり、子どもも世の中のことを知らないと難しい時代になってきているんですね。そういう意味での時代の要請に、また合致してきている気がします。それに「こどもニュースなら出演したい」って言ってくださる方もわりと多くなってきて。現在の国連の事務総長のパン・ギムンさんもうそうでした。国連のことだけじゃなくて、彼がどうやって事務総長になったかを紹介しました。どうやら認知はされてきているようです。……けど、日曜朝に移ってきたことが意外と知られていないようです。今なかなか家族で見られる番組が限られていると思うので、日曜朝の番組として定着させていきたいですね。朝これを見ていれば、1週間のできごとがザッとわかって、親子で「あ~、こうなってんだね」って語り合えるような、そんな番組にしていきたいと思っています。



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番組data
番組名 週刊こどもニュース ジャンル ニュース・報道
放送局 日本放送協会
放送日時 日曜日 8時05分から8時35分(関西地方は8時30分から9時)
番組URL http://www.nhk.or.jp/kdns/
主なスタッフ チーフ・プロデューサー・米村裕子(敬称略)2010年5月時点 スタッフ数 11人
主な出演者  お父さん・岩本裕、お母さん・光浦靖子、
長男・古田大虎、次男・萩原利久、長女・柳下花恋、
近所のお兄さん・ハイキングウォーキング
放送開始日 1994年4月10日から(2010年4月で16年)

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