マスメディアとソーシャルメディア。この番組はその両者の代弁の場となっているのかもしれない

新・週刊フジテレビ批評

『新・週刊フジテレビ批評』とは……

話の中で幾度か「テレビと外部」という表現が出てくる。そう、テレビについて考えるということは、テレビ単体ではありえないのだ。今の社会であったり、今の視聴者であったり、相対するものとの関係や立ち位置を踏まえなければ、なんの意味もない。『新・週刊フジテレビ批評』は、まさにうってつけの機会なのだ。話はテレビのあり方をベースに千々に広がっていく……。


——番組に携わる前から「テレビとはなんなのかを考えていた」っておっしゃっていましたが、何か具体的なきっかけがあったんですか?

とくにそういうわけではないんですけど。今わりとテレビが過小評価されたり、叩かれたりしていますよね。とくにネットの世界では「テレビ崩壊」みたいな言われ方をしています。知らず知らずのうちに世論になってしまう危険性があります。一方的に言われっぱなしもおかしいので、テレビの側こちらからもきちんと発信していかないといけない。現状、それに対してテレビの側からの反論ってそんなに出てないんですよね。「確かにおっしゃるようなところはあります」「それは明らかな誤解です」「実態が見られていないのではないでしょうか」と、ちゃんとこっちが言わないといけないなと。

スタジオ脇から
——テレビの外の人、見ている人のリテラシーを高めようという狙いですか。

そうなんです。最近ツイッターなどを見ていると、メディア批判がガンガンやられていますよね。 
    

——マスメディアしかないときには、視聴者は受けるだけの姿勢だったのが、今やそれぞれが判断する必要と機会が出てきたわけですね。さらにはそれを発信するメディアを個人が持ち始めている。

「マスメディア=悪」とか「マスメディア=既得権益」という主張が、ごくごく素直に受け止められている風潮がありますよね。もちろん批判するのはいいんだけど、“それだけ”なのは逆におかしいだろうと思っているんです。検察批判だってそうです。今、メディアが検察と結託して世論を作り上げているという意見がどんどん出ていますが、局の報道の人間や検察を取材している人間は怒っているんですよ。「絶対検察はリークなんてしないし、結託することはない!」って。そこに関してもわれわれは、東京地検の元特捜部長をお呼びして、ある程度の反論をしました。これも「テレビとは何か」という立場の説明であると考えています。

——批判を受ける窓口としてだけでなく、言うべきことはきちんと言って打って出るための場でもあるわけですか。

テレビを批判する意見ってわりと先鋭的で、今のところそんなに大きな声ではありませんよね。一般的には、まだテレビは信頼に足るメディアです。信頼してくれている人たちに対して、批判的な意見がヘンな形で伝わらないようにしなくてはいけないと思っています。われわれのように、対処していかないとそういうようなところに対して、ヘンな風に広がらないように。僕はテレビにおけるメインストリームの人間ではなく、どちらかというとアウトサイダー的なところにいるので、フジテレビの中でも若干“外”に近い位置からテレビを見ることができると思っています。そういうエッジにいる人間がきちんと対処していかないと、テレビのテレビらしいメインのところに影響を与えることになるでしょうし。テレビに対するリテラシーをうまく上げていくこと。でもやっていて面白いことをやりたい。

——マスメディア論的な意味合いも込めて番組は作られていスタジオるわけですか。

テレビを過大評価する必要はありません。もちろん過小評価する必要もない。テレビが時代とともに変わっていくのは当然です。影響力も変わっていきます。そういうところを踏まえてテレビのあり方を考えた方がいいのではないか、という話ですね。とはいっても、テレビが一番大きなメディアであることに変わりはありません。ネットにとって代わられるわけではなくて……というか、そもそもテレビとネットって対立するものなんだろうか。そういう感じでもない気がするんですよね。 
  

——ただ、ネットは利用者が積極的に情報をとりにいく場だと思うんです。それに対してテレビには、イイ意味で無駄な情報がいっぱいあります。それで「あ、こういうこともあるのか」という偶然の出会いを得ることができる……。

そこがテレビの良さでもありますけどね。うまく使い分ければいいんですよ。興味のあることは自分で調べればいいし、知らないことに接触する機会を自分で設けてもいい。僕たちが望んでいるのはテレビのみならず、メディアに対するリテラシーが上がっていくことです。テレビの情報だけを鵜呑みにする人はまだまだたくさんいるでしょうし、逆にテレビはまったく信用しない、ネットが真実という人もいるでしょう。そこをうまくつなげられるといいんだけどなあ……。

——今後に向けての、番組の課題を教えてください。

もう少し批評的な部分を強めていきたいですね。テレビに対するリテラシーをうまく上げていくことができるようにやりたい。さらには視聴者の参加できる仕組みの強化。われわれとみなさんとで、一緒に何かを作っていくという形をもう少し進めていきたいです。どうもテレビって視聴者と距離を置いているような印象があるんですよね。今のトレンドはソーシャルメディア的な、接触する人たちと一緒になって何かをやっていくメディアです。もしかしたらそっちの方向にテレビの未来が、そういう部分を取り入れていくことで生き残っていける部分があるんじゃないかなと思っています。そういう意味でのさまざまな実証実験は続けていきたいですね。
書籍
——マスメディアってどうなっていくと思われますか?

そんなむずかしいことを考えるよりも、やっていて面白いことができればいいかな(笑)。「テレビはこうならねばならない」とか「テレビの未来はこうあるべきだ」というよりも、面白いものをとにかく作る。「面白い」にもインタレスティング、ファン、エンターテイン……いろいろ解釈はあるけれど、見ている人にとって面白いものを作っていくのがテレビ。そこはフジテレビのDNAって言われる部分ですね、いや、DNAっていうのもどうなんだろう(笑)。そういう意味では「批評」というジャンルもやってみると面白いですよ。 
  
——批評する番組を制作する立場になったことで、今後ご自身が制作してゆく番組への考え方は変わりそうですか?

テレビにはまだまだ可能性はあると感じます。一方で現実に対応しないといけないところもある。そこが非常によくわかりますね。“視聴者の声”っていうと、われわれ制作者は「ちょっと鬱陶しいな」と思ったりする部分もあったりするものですが、しっかり向き合うと「なるほど!」と思うことも多いんです。そうしてお叱りの声がある限り、テレビは見放されてはいないんだろうなと思います。だからこそ今のうちに、先のことを考えていかねばならない。この番組に携わって、よりテレビのことを考えるようになりましたね。それをこういう本『新・週刊フジテレビ批評』にして、フジテレビ内部でちゃんとテレビのことを考えるきっかけにしています。それだけじゃなく、BPOや放送批評懇談会、総務省にも配って……テレビの側もちゃんと考えてなくはないよ、ということをきちんとお知らせしておかないと(笑)。この本は『流行通信』とか『スタジオ・ボイス』の紙を意識してちょっとサブカルふうに作っているんですよ(笑)。



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番組data
番組名 新・週刊フジテレビ批評 ジャンル 情報
放送局 フジテレビ(フジテレビ系)
放送日時 毎週土曜 午前5時から6時
番組URL  http://wwwz.fujitv.co.jp/newhihyo/index.html
主なスタッフ 監修・日向英二、
プロデューサー・福原伸治、ディレクター・本間学(敬称略)
スタッフ数 約20人
主な出演者 司会・奥寺健、武田祐子、ニュースキャスター・大島由香里、
お天気キャスター・石田紗英子(敬称略)
放送開始日 1992年4月「週刊フジテレビ批評」、2009年10月3日「新・週刊フジテレビ批評」

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