
発想は驚くほど単純だ。「子ども向けのニュースがないから、つくろう」。でもその実現の困難なこと。だいたい子どもが「何を知っていて何を知らないのか」がわからない。どこまで解説を簡略化するのか、どこまで丁寧に説明するのか、想像もつかない。大人のニュースの常識が全然通用しない。ただそれを知るための方法は、これまた驚くほど単純だった。
——番組が始まったいきさつを教えてください。
ニュースが、国内のものだけでなく多様化していく時代だったんですね。そんななか「子どもがニュースを理解しようとしても難しいだろう」「一般のニュースではきっとわからないに違いない」という話から、実際にニュース番組の出演者に子どもを入れてみようという案が出たんです。最初に番組を作ったのは『天才てれびくん』などを担当していた制作局のチーフ・プロデューサーでした。それに報道局のスタッフが加わってチームを作って。報道に関しては、草野球のチームにプロが入ってくるみたいな感じだったんです。もちろん報道局のスタッフは大人向けニュースを作るのは得意です。それをみんなで「こうすれば子どもにわかりやすいんじゃないか」って話し合って工夫してニュース原稿を書くんですけど、子どもたちに聞かせてもまったく伝わらなかったそうです。
「厚生省……なにそれ?」「内閣?」「政府?」って(笑)。それでイチから「子ども向けに作るとは」という姿勢を見つめ直して、練り上げて徐々に今の形ができてきたんです。
——大人の視聴者も多いと聞きますが、実際はいかがですか?
実際はわりと大人の方にも見ていただいてるようですね。そもそも視聴者の年齢層が全体的に上がっている、という理由もあると思うんですが。
——そこで、今まさに民放各社が“わかりやすいニュースショー”というテーマで番組を作ってヒットさせてます。“元祖”としては、こういった最近の傾向をどう思われますか?
今、そうしたニ

ュースショー番組が数字を取っていることは知っています。大人も子どもも、いろんな人がニュースに関心を持っていて理解したいんだなということがよくわかりますよね。そういう需要がある以上、わかりやすいニュースを作るうえでのいいノウハウはみんな使っていくでしょう。こどもニュースでよくやる、お芝居仕立ての解説を民放で見たこともあります。それはやっぱり伝わりやすいやり方だからですね。でも、画面の作り込み方やお芝居の画作りに関して、「週刊こどもニュース」には歴史があります。CGやビジュアルなどのノウハウもある。加えて“視聴者を放っておかない演出”を的確に使って、他番組との差別化を図っていきたいと思っています。
——とくに相手が子どもですから、そこは意識せざるを得ないところでしょうね。
ハイ(笑)。たとえば国会議員や選挙の説明をするビジュアルがあるとします。立候補している人が男性ばかりだとおかしいですよね。“社長さん”を表現する場合も同じです。だから一定数女性も混ぜて表現する。大人相手だったら、普通に男性だけを描いていてもさほど問題はないんでしょうけど。子どもの場合「国会議員や社長さんは、必ず男性なのか」と思う可能性もあります。スタッフもみんな、そういう細かいところまで気を配れるようにしています。
——番組開始当初から、そういった考えなんでしょうか?
今とまったく同じかというと、もう少し子ども向けだったかもしれません。結局今の子どもたちも“子ども向けに選ばれたニュース”ではなく、“いま起きているニュース”を知りたいんですよね。
——子ども用の“わかるニュース”をセレクトしてほしいのではなく、わからないニュースをわかるように解説してほしいと。
はい。“ニセモノ”“ホンモノ”っていうと語弊があるかもしれませんが、どんどん新しく流れてくる、普通のホンモノのニュースが、果たしてどういうことなのか知りたい。その声に応えられるように。
——といっても子どもにおもねるわけではなく、正々堂々わかりやすくはしているが、ストレートに曲げないで伝えていこうという。
そうですね、多少の言い換えとかはしますが。たとえば過去の例でいうと、アメリカのCIAを「スパイの役所」という表現で説明しました。「CIAって難しいからやめよう」というのではなく、ならばどうすれば伝わるかを考えるわけです。ベーシックなところは大人のニュースを譲らないようにがんばってやってきました。ノウハウはだんだん蓄積されてきています。
——ノウハウ……実際に「ここまでは踏み込む。でもこれは簡略化する」みたいなバランスの取り方ってどうしてるんですか? 何か参考になるようなものはありますか?
何もありません。参考にしているのは、ただ目の前にいる子どもたちだけです。
——出演者のこどもたち?
そうですね。