マスメディアとソーシャルメディア。この番組はその両者の代弁の場となっているのかもしれない

新・週刊フジテレビ批評

『新・週刊フジテレビ批評』とは……

背景は地味なセット。局アナが視聴者からのクレームや意見を読み上げ、当たり障りのない回答を出す。自己批評番組など、まあおそらくはそんなテンションで間違ってはいない……のだけれど、この番組は違っている。義務としてではなく、積極的に「見て面白い番組」として制作しているのだ。セットは派手だ。が、そこにもこの番組の姿勢が反映されている……。


——『週刊フジテレビ批評』は1992年4 月のスタートです。私の知る限りでは、テレビ界初の自己検証番組なのですが……始まったいきさつを教えてください。

始めた当事者ではないので直接は知らないんですが、現在の会長である日枝が、テレビにも批評機能が必要だろうと言い始めたのがきっかけです。それが視聴者の信頼に答えることであり、よりよい番組作りにつながることだ、と。そういう理念から始まりました。もちろんそのスピリットは今も続いていますよ。
スタジオ正面
——自己批評番組は、全テレビ・ラジオ局に対して、原則として月1回の放送が求められています。ある種義務のような、受動的なルールなのに、どうもフジテレビでは積極的に楽しんで番組を作っている印象があります。これは、『新』になってから変わった点でしょうか?

以前も相当、積極的に攻めていたんじゃないかな。森永さん(注・森永勉。フジテレビ企画制作部、バンエイト在籍時に番組を担当)がプロデューサーのころにスタジオで生ピアノの演奏をしたりしたのは、すごくアナーキーな演出だったと思いますし。僕が担当するようになってから雰囲気が変わったわけじゃないんですよ。もともと「ルールだから」ではなく、局内から自発的に始めた番組ですからね。それならば、せっかくなので面白いことをしようと。番組は「見てもらってナンボ」というところが、もちろんありますので。 
  
——福原さんが受け継いだのは2009年です。普通の娯楽番組や報道番組とは役割が違いますよね? どんな意気込みで取り組みましたか?

実際に作っている様子を横から見ていたので大変そうだということはわかっていました。自分たちの身内について耳の痛いことも言わなきゃならないし、普段触れられないことにも触れなきゃいけなかったりするわけで……。そういう点は大変なんですけど、同時に「テレビとはなんなのか」ということを見つめ直すいい機会ではないかなと思いました。今、テレビについてあちこちで批判的に語られることが多いんですね。“マスメディアとしてのあり方”とか“テレビ離れ”だとか。少し前から「テレビと時代」「テレビと外部との関わり」などを体系立てて考える必要があると僕は思っていました。もちろんこの番組の機能は内部的な自己批評ではあるんですが、それと併せて、テレビを見つめ直すいい機会になるんじゃないかと。


——以前からの番組を継続する部分と、刷新した部分を教えてください

番組後半のトークのコーナー『Critique Talk(クリティ-クトーク)』は継承していこうと思いました。20分ほどの短い時間ですが、ゲストの話をきちんと聞こうと。ただ、トークのベースはもう一度きちんと「テレビ」に置くべきだと思っていて。というのは、以前までの『週刊フジテレビ批評』はテレビを中心としながらも、話題の軸が若干ぶれてた印象があったんです。テレビをベースにする、ということを守りつつ、いろんなものを見ていければいいと思って作っています。 スタジオ上から

——いわばテレビの原点に戻る、ということですか。セットがテレビのカラーバーを模したデザインになったのもその流れですか?

そうです。「目がチカチカする」ってよく言われるんですけど(笑)。われわれ制作者にとってテレビの原点のアイコンはカラーバーなんですね。編集の時にも入れるし、視聴者の方には見えないけれど番組もカラーバーから始まる。それを体現すべく入れたんです。 
  

——リニューアル後、生放送になりました。それで変わった点はありますか?

その週の出来事をある程度、リアルタイムにフィードバックしていくことができるようになったところですかね。首相辞任に関する特番対応……報道特番とはどういう形でできるのかを検証したり、ワールドカップと視聴率の関係を考えてみたり。あとは、「Media NEWS」というコーナーがあって、その週にあったテレビやメディアにまつわるできごとをお知らせするんですが、生だとギリギリまで新鮮なものを取り入れていくことができます。

——生放送×自己批評番組というあり方はリスキーではないですか? 視聴者からの問い合わせやクレームに対して結論を出さねばならないわけですし……。

生であろうとなかろうとその辺のところはきちんと出さねばならないと思っています。小田多恵子広報室長にご協力いただいて、“フジテレビの顔”として答えていただいているのは、「これはフジテレビとしての答えだ」という点を明確にしているんです。そのために、社内の各所ともすりあわせは行っています。

——フジテレビへの意見はどのくらい届いて、それを福原さんはどういう感じで見ていますか?

視聴者センターには毎週、電話だけで5000~6000本。ホームページにその倍以上届いています。実は毎日、視聴者センターから社内の各プロデューサーに報告メールが来るんですよ。「こういう意見が来ました」「とくにここは重要ですよ」と。担当番組だけでなく、全体に対する意見が届きます。この番組では、それを見て、そこに載っている意見だけでなく背景にある他の意見はどうなのか、どういう傾向の人が意見を出しているのか、たとえばこの1年でその種の意見は増えているのかどうか……という点を、視聴者センターと打ち合わせて選んでいます。必ずしも数多い意見を採り上げるわけではないですね。ムードで同じ意見が多くなることもありますし、ネットの影響も否めません。それよりも、1通かもしれないけど私たちが気づかなかったようなたいへん貴重な意見。われわれの問題をついてくれるものを紹介しようと心がけています。

——その報告は、福原さんだけでなく……。

各プロデューサーのところへも届きます。この番組があるか否かにかかわらず声は制作者に届いて、各番組はちゃんとそれをフィードバックしていると思います。毎日の日報だけでなく、週間、月間でも報告は上がってきていて、その辺はシステマティックに機能していますね。

——意見を寄せる方の傾向ってありますか?

たとえば電話でのご意見は年配の人が多いようですね。最近とくに多いのが50代以上の男性。リタイヤされてテレビを見ている方々。そういうみなさんは考えながら見ていることが多いので、なかなか“歯応えのある”意見が多いですね(笑)。ホームページには若い人の意見が多いようです。



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番組data
番組名 新・週刊フジテレビ批評 ジャンル 情報
放送局 フジテレビ(フジテレビ系)
放送日時 毎週土曜 午前5時から6時
番組URL  http://wwwz.fujitv.co.jp/newhihyo/index.html
主なスタッフ 監修・日向英二、
プロデューサー・福原伸治、ディレクター・本間学(敬称略)
スタッフ数 約20人
主な出演者 司会・奥寺健、武田祐子、ニュースキャスター・大島由香里、
お天気キャスター・石田紗英子(敬称略)
放送開始日 1992年4月「週刊フジテレビ批評」、2009年10月3日「新・週刊フジテレビ批評」

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