スタッフルーム。番組企画の会議などが行われたりもするが、子どものころの記憶を探りあい、面白かったバナシが展開されるさまは、まるで秘密基地。

DASH村は、ひとつの農村で日々の営みが行われていくのに必要なことがらしか出てこないし、中古軽自動車を改造したソーラーカーで日本を一周する企画では、その土地土地の素顔しか出てこない。でもものすごく興味深い。観ているうちにグイグイ引き込まれて、観た後には満足させられる。そこには小さな仕掛け、というかテレビ製作者としての信念みたいなものがあった。


―たとえばニホンミツバチがどうやって冬を越して巣を作って、種が増やすかなんて……こうやって文字にするとなんかつまんなそうですけど、“DASH”で観るとすごく面白かったんです。 

番組を通じて伝えたいのは、“へーっ”なんですよね。こんな自然が、こんな文化が、こんな人柄が……“こんなことって日本に実際あるんだ”っていうところを見せていきたいと思ってるんです。いまソーラーカーで日本一周やってますけど、つねづね言ってるのは『るるぶ』に載ってるところは番組にとってはどうでもいいんですよと。町の人たちしか知らない、オラが村の一番誇れるところ、誇れる食べ物、誇れる場所、そういうものが日本全国には山ほどあるっていうところを知らしめたいっていうことなんですよね。そういうのも含めてお客さんが“へーっ”と思うような仕掛けをつねに考えたいんです。番組を作るようになって、日本ってまだまだ捨てたもんじゃないなっていうことを実感できましたね。まだまだ知られてないことや、知られてない自然があって、日本って大きいんだなって。自然をフィールドにしながら僕らは自然と共存しているわけです。これに逆らうことはたぶん“テレビよがり”になっちゃうんですよ。つまり、テレビ制作者側の一方的な目線ということです。視聴者の側から観ていない……面白く作ってるんだから、それをオマエらは観ろよ、っていう発想。本来は、視聴者が観たいものをどう供給するかっていう価値観じゃなきゃいけないはずなんですよ。


―そういうシンプルで強固な方針があるからぶれないんですかね?
かもしれません。基本的に、奇をてらったことをやろうというよりは、じっくりと腰を据えて取り組むことで支持していただいてるっていうのは、視聴者のみなさんもある程度同じ気持ちになっているというか、そこだと思うんですよね。だから突拍子もない何かで目をくらませることはなく、みんなで――僕らも、TOKIOも視聴者も――興味をもってひとつのことにぶつかっていくっていう、それに尽きますね。タイトルだって、要は、鉄の腕……そのままっちゃそのままなんですけど(笑)、みんなで鉄の腕をもってダッシュしてぶち当たって何とかしようぜっていうことですから。


―“DASH”という番組の姿勢って、前任の方から実成さんに申し送られたりしたんですか? 

それはなかったですね、あんまり。人事異動でパッと変わっただけなので(笑)。でも僕が言ってるようなことって、この手の番組では一緒だと思うんですよ。“DASH”はドキュメンタリーバラエティーだと僕は思うんですよ。この番組の場合は作ったりするわけですが、そこにあるものを追っていって楽しく観せると。このとき大切なのは他人に迷惑をかけないことや、観てる人たちが不快に思わないことですよね。観てるというのは、視聴者だけでなく取材対象の方々もです。われわれは取材をして番組を作らせてもらっているわけです。あり得ないようなものを撮ると、絶対その場にいる人は“こんなのあるわけないじゃないか!”って思いますよね。そういうのって、作ってる映像にも出ちゃうんです。当然観てる人にもわかる。そこで“?”が付くと、アウト。ずっと視聴者の目線から企画を考えるということを言ってきましたが、実際に作るときにも視聴者の視線は重要なんですよね。


―ちなみに……なんですが、新企画の場合、実際にそれができるか否か、結構実験とかしないといけませんよね。どの程度シミュレーションしますか? 

可能かどうか、という程度ですね。“これこれこういうふうにして、こうなる”なんて台本に書けるほどのことはないですね。思うんですけど、うまくいかなかったものをうまくいかせちゃうようにしたくはないんです。仮にうまくいかなかったら、うまくいかないでいいんですよ。それが現実なんですから。だったらもう1回次にやるときに、うまくいくように違う形をとって成し得ればいい話で。そうすると、それはそれでまた企画が広がる必然性にもなるわけですし。あ、それから、そもそも『ザ!鉄腕!DASH!!』には台本なんてないんですよ(笑)。


―一貫してますね。そんな“DASH”の使命って何だと考えてますか? 

使命!? そんな大それたものはないですよ(笑)。観てくださるみなさんに“へーっ”って言ってもらうのが喜び。あとは何度も言いましたが、この狭いと思われている日本に、実はまだまだ捨てたもんじゃない自然や文化や風土が残っているということを、DASHというフィールドから伝えていけたらなと思っています。


(小杉文彦=取材)

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番組data
番組名 ザ!鉄腕!DASH!! ジャンル バラエティ・音楽
放送局 日本テレビ放送網(日本テレビ系)
放送日時 毎週日曜 午後7時~7時58分
番組URL http://www.ntv.co.jp/dash/
主なスタッフ CP・高橋正弘、P・実成俊也(敬称略)、他 スタッフ数 約70名
主な出演者 TOKIO/城島茂、山口達也、国分太一、松岡昌宏、長瀬智也(敬称略)
放送開始日 1995年10月「鉄腕!DASH !!」(1998年4月「ザ!鉄腕DASH!!」)2007年で12年

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